近年、以上のような町内会の抱える課題として、「加入率の低下」および「役員のなり手不足」に伴う町内会の衰退があります。
以下のグラフは、名古屋市における町内会加入率を示しており、2010年の80.2%から年々低下し、2018年には71.4%まで落ち込んでしまったことが分かります。(名古屋市市民経済局地域振興課(2020)による学区別生活環境指標を基に作成)
また、以下のレーダーチャートは、名古屋市における各区の町内会加入率の遷移を示しています。どの区においても、ここ数年で加入率が低下していることが伺えます。(ibid. 2020)
続いて、加入率の低下および役員のなり手不足の原因について明らかにします。
- 加入率の低下の原因
- 入会に伴って発生する仕事・近所づきあいが面倒くさい=仕事量
- 若者・子供がいない世帯にとって入会する明確な理由がない=意義や魅力
- 役員のなり手不足の原因
- 共働き世帯の増加による多忙=仕事量
- 役員をやることによるメリットがない=意義や魅力
以下グラフは、若者にとって町内会に入会する明確な理由がないことを示しています。特に18~29歳の若者にとっては町内会は大きな存在ではないことが伺えます。(内閣府 (2019)による「少子化対策と家族・地域のきずなに関する意識調査」を基に作成)
また、以下のグラフからは、共働き世帯の増加が伺えます。1980年には男性雇用者と無業の妻から成る世帯が多くを占めていたのに対し、1990年代には両世帯がほぼ同数となり、近年は雇用者の共働き世帯が圧倒的に増加していることが分かります。このような局面において、町内会の業務は負担と感じられることが多く、また、町内会の活動への参加が困難であることが推察されます。(厚生労働白書(厚生労働省, 2018)を基に作成)
このように、加入率の低下および役員のなり手不足の原因として様々なことが考えられますが、まとめると以下の2つが原因としてあげられます。
加入率の低下と役員のなり手不足の原因2つ
- 町内会入会に伴う仕事量が負担である
- 町内会に入る意義や魅力を感じられない